※この記事は筆者の主観が普段の4割増含まれています。
筆者が新人のメカニックだった頃、よく仕事を教えてくれる先輩がいました。
とても厳しい先輩でしたが滅茶苦茶仕事ができる人で、怒られながらも憧れていたもんです。
その先輩が愛用していた工具がSnap-onのシブイチスイベルラチェットTM737でした。
同じのが欲しかったのですが、当時既に廃盤。で、後継モデルのTHNF72を買うに至ったのです。
当時買ったTHNF72は津波で流されてしまったため、15年ぶりに新しく買い直しました。
ではでは紹介していきます。
1本は持っておきたい至高のスイベルラチェット

筆者はこのラチェットに非常に思い入れがあるため、少々贔屓がちに見てしまいます。
しかし、実際に使用してきた上でも「このラチェットはマジで便利だ!」と実感しているのも事実です。
このTHNF72よりも後発で似たような工具はたくさんあります。実際に触って、正直これよりも優れているなあと感じた工具もあります。
それでも筆者は敢えてこのTHNF72を至高のスイベルラチェットと言いたい。
THNF72の各種実測データ
そんなこんなで、筆者が実測したデータを紹介します。
公式で公称値が判明しているものについては併記しますね。
ヘッド部の厚さ:10.1mm

メーカーの公称値は11.1mmなんですが、ベンツマークの突起部分も含めた数字だからですね。
筆者はON OFF切り替え部の突起は避けて測定したため、公称値よりもかなり小さい数字になっています。
ラウンドヘッド(丸形ヘッド)としては標準よりもやや薄い感じでしょうか。
ヘッド部横幅:30.3mm

メーカーのHPでは32.0mmと書かれていました。
実測値はかなり小さく出ましたね。
正直この部分に関してはなぜこんなに実測値と公称値に差があるのか分からないんですが、実際に使用するうえでは小さいほうがありがたいので気にしません。
全長:173mm

公称値は175mmです。
画像は撮影しやすくするために寝かせていますが、実際に測定する際は立てた状態で測っています。
シブイチサイズの長さはこのラチェットまでが個人的な許容限度ですね。
あまり頻度は高くないですが、1/4ソケットで14mmのボルトを緩めるときはこのラチェット以外考えられません。
重量:113g

重量はメーカー発表の値がありませんでした。
ショートラチェットと比べれば長さがある分重いですが、まあ許容範囲かと思います。
グリップの最も太い部分:20.8mm

グリップの最も太い部分は20.8mmでした。
筆者はこのグリップがあまり好きではないので、後日別のグリップに交換します。
ヘッドの可動域:約270° (ソケットなしなら360°)


ヘッドがくるくる回るので、可動域はめちゃくちゃ広いです。
この可動域の高さが作業性に直結していると言っても過言では無いでしょう。
歯数72ギア、送り角5°
ギア数は標準的な72ギアで、特筆すべき点はありません。
昔は72ギアでもかなり多い方だったんですが、2020年現在ではどこのメーカーも72ギアが標準になってきていますね。
良いところ・悪いところ
以下、正直に良いところと悪いとことを書いていきます。
スナップオンTHNF72の素晴らしいポイント
作業効率が跳ね上がる
ヘッドが自在に動くため、ラチェットでボルト・ナットを緩めた後にそのまま早回しが出来たりします。

シブイチ工具特有のアクセスの良さも相まって、工具を持ち帰る頻度を減らせるので作業のスピードが目に見えて変わるんですよね。
新人だったころは作業が遅かったので、こういった僅かなスピードアップ手段も貴重でした。
支点がボルト・ナット真上に来るのでトルクが逃げにくい
フレックスヘッドのラチェットと違って、作業時の力がかかるポイントがボルト・ナットの真上に来ます。
そのため、力をかけやすいうえにボルト・ナットのなめり防止になります。
筆者はこのラチェットでF6Aターボのタービンボルトを緩めたりしてました。かなりトルクフルな使い方をしていましたが、ボルトを滑らせたことはありません。(ギアを飛ばすことはあります)
所有欲が満たされる
なんだかんだ、Snap-onの工具はこれが大きいのかなと。
近年は他メーカーの躍進もあり、かつてのキングオブツールズの地位も怪しくなってきたような感がありますが、それでもやっぱりSnap-onの工具はカッコいいなあと思います。
正直お金さえあれば全ての工具をスナップオンで統一したいですが(実際に使うかは別問題)、宝くじでも当たらない限り難しいですしね。
なもんで、筆者は好きな工具・思い入れがある工具はスナップオンで買いますが他は価格とバランスも見て買い揃えています。
イマイチ好きになれないポイント
空転トルクが重い
かっちりとした使い心地とも言えますが、正直ギアは硬いし空転トルクも重いです。
空転トルクが軽すぎるコーケンのラチェットを触った後だと、正直比べる気も起きないレベルで重いです。
ギア数の差による部分も大きいので一概には言えませんが、THNF72の空転トルクは確実に重い部類ですね。
ヘッドの調整にインチの六角レンチが必要

ラウンドヘッドの動きの調整は、画面中央部分にある六角ボルトを使って調整します。
この調整用ボルトがインチサイズなんですね。3/32だったかな。
アメリカ製工具なので当然といえば当然なんですが、ミリサイズのボルトだったら良かったかな。インチ工具なんてほとんど持ってないですもん…
ソフトグリップが生理的に苦手
完全に主観の問題ですが、現行スナップオンのソフトグリップが苦手です。
すぐボロボロ落ちるし、トルクもかけにくいし…
多少の加工は必要になりますが、自分でグリップを打ち換えることもできるので、近いうちに交換します。
15年くらい前からこのグリップは評判が良くないイメージなんですが、すっかり定着してしまっている感はありますねえ。
他社で上位互換みたいなラチェットもありますが、筆者はこれが好き
ぶっちゃけちゃうと、MacToolsでは100ギアのスイベルヘッドラチェットを出しています。
他のメーカーでも同等のスペックでもっと安いスイベルラチェットがあります。
なんですが、筆者は思い入れ補正込みでTHNF72が大好きなんですね。
では最後に総括します。
- 抜群の使い勝手
- アクセス性が高い
- Snap-onを所持する喜び
- 空転トルクが重い
- 値段が高すぎる
- 他社でもっと安くて良い工具がある
正直これじゃなくても十分…と思わないこともありませんが、思い入れ補正で高く評価しています。
3/8サイズのFHNF100は文句なしなんですけどね…。
とはいえ、筆者的にはTHNF72はエース級のシブイチラチェットですし、今後も愛用し続けて行くでしょう。
やっぱ工具は自分の好きなものを使ってナンボだと思いますし。
後日グリップを樹脂製の旧グリップに交換予定です
記事中で何度も書いている通り、筆者はソフトグリップが苦手です。
そんなわけなので、後日グリップに関しては旧グリップを別で購入し入れ替える予定です。
グリップ交換の手順も別記事でまとめられればいいなと思います。
ではまた。
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